2025年1月29日
6.2 「たるみ」の最新治療の実際−3
●容量縮小手術 Volume Reduction Surgery の役割
アンチエイジングをめざした外科治療である「抗加齢外科」では,美容(整形) 外科の豊胸治療や隆鼻治療で一般的に用いられるシリコンバッグやプロテーゼなど の異物を用いることはない.
抗加齢外科領域で治療対象となるのは主にしわやたるみで,これらの治療には, 従来まで頬のたるみを解消するフェイスリフトや,目の上下のしわ,たるみを対象 とした上下眼瞼形成術が一般的であったが,皮膚切開法を用いるこれらの治療には 皮膚の傷跡の問題や,社会復帰までの期間(ダウンタイム)が長く,必ずしも誰も が安心して受けられる治療とは言えないところがあった.
このような従来のたるみ治療に伴う諸々の問題点を解決するために開発した治療 が,当クリニックで行う容量縮小手術(Volume Reduction Surgery)である.
では「容量縮小手術」とは,実際にどのようなことを行うか,順を追って説明したい.
顔には加齢とともにたるみやすい箇所がある.そのポイントは,①目の上,②目の下,③頬の3箇所が最もたるみやすい.この3箇所はなぜたるみやすいのか,その理由を述べると,
①目の上の部位の皮膚は薄く弛緩しやすいため,皮膚自体がたるむ.特に,加齢とともに外側皮膚が目の上にかぶさりやすくなる.
②目の下の部位には下眼窩脂肪が存在する.東洋人においてはその量が多く,加齢とともに眼窩支持組織が弛緩すると,眼窩皮膚直下に脱出する.この状態が目の下のたるみとし認識される.
③頬には咬筋(物を噛む筋肉),頬筋(口をすぼめる筋肉),その間に挟み込まれた頬脂肪(バッカルファット),そして頬皮膚下の頬脂肪層(malar fat pad)などがある.これらの組織は比較的重量があり,特に頬脂肪は,加齢とともに下 垂し,頬のたるみとして認識されるようになる.
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