2022年9月19日
当クリニックで行うミニ・フェイスリフト手術の図解解説
フェイスリフト概要は、ホームページのフェイスケア欄、フェイスリフトを参照してください。
下記載はその中のミニフェイスリフト手術の具体例です。1.青いマーカで示されたヘアーライン内から耳前縁へ延びる”くの字”がこのフェイスリフトの皮膚切開ラインである。頬部へかけた円状のデザインは皮膚剥離範囲、その中にある斜め直線上の矢印は皮膚挙上方向を示している。皮膚切開線上には1.0%キシロカイン局所麻酔剤を注入する。
2.皮膚剥離部には0.2~0.25%キシロカイン局所麻酔剤を均一に注入することで皮下脂肪組織を膨らませる。この局所麻酔注入法はチュメセンス法と呼ばれ、剥離面の同定及び剥離を容易にする。
3.耳前縁上部に11番メスで小さな進入口を作る。進入口から皮下脂肪層へ直径2mmの脂肪吸引用カニューレを挿入し、青マーカーで示された範囲で皮下脂肪層剥離及び脂肪吸引を行う。
4.皮下脂肪層での剥離・脂肪吸引は上方向から尾側へと扇状に行うが、その際カニューレは常に皮下脂肪層に平行に挿入することを念頭に置き、決して深部筋層に到達しないよう十分に注意して行う。
5.皮下脂肪層での剥離・脂肪吸引終了後に、カニューラ進入口部位から皮膚切開を行う。同部位には浅側頭静脈が縦走するので、切開創は最初出来るだけ浅く行い、確実な止血操作を行いながら、少しずつ切開創を広げる。
6.まずピンセットで皮膚切開創近位端を把持しながら、鈍先端の剥離鋏にて皮下脂肪層剥離を行う。剥離層がSMAS上層であることを確認し、二爪鉤で皮膚を把持しながら剥離範囲を広げる。
7.長径鋏を皮膚上に置き、先端到達点位置を確認する。次にこの鋏を皮下層に挿入し、先ほど皮膚上の確認位置まで剥離が到達したことを確認する。
8.筋鉤で剥離された皮下層内引き上げ、肉眼で出血点の有無を確認する。出血点があれば、バイポーラー鉗子で確実に止血する。また皮下層内確認の際、残存した靱帯組織も肉眼下で丁寧に剥離する。
9.3-0PDS糸をSMAS前上方にかけ、皮膚にデザインされた斜め上方向に牽引・縫縮する。同様操作をSMAS後下方にも随時行う。この縫縮操作はSMASの緩みが完全に消失するまで下方から上方に向けて段階的に行う。
10.Kocher鉗子で皮膚上にデザインされた斜め上方向に皮膚を牽引する。その際ピンセットを用いて皮膚を切開線上で折り返し、余剰皮膚切除幅を決定する。
11.余剰皮膚切除幅が決定したらマーカーで切除幅をデザインし、鋏でその幅の皮膚切開を行う。
12.この余剰皮膚に加えた縦方向切開線と先の皮膚切開線の交差部位に3-0黒ナイロン糸でステイスーチャーを加える。この操作により、皮膚挙上を得るための余剰皮膚切除幅が正確に決定される。
13.マーカで余剰皮膚切開線のデザインを引き、そのライン上で皮膚切除を行う。
14.ステイスーチャーを挟んで左右で同様の操作を行うが、余剰皮膚切除面の止血操作も確実に行う。
15.皮膚縫合は5-0PDS糸での皮下縫合と6-0黒ナイロン糸による皮膚縫合の2層縫合を行う。本操作の如く、皮下層内で確実な止血操作を行えばドレーン設置は必ずしも必要ではない。但し患者にはガーメントによる圧迫固定を24時間行うよう義務づけた上で、翌日必ず来院させ血腫の有無を確認するのを怠ってはならない。