2022年9月19日
経結膜的下眼瞼形成術に伴う眼瞼下垂様症状の改善-2
対象と方法-1
いわゆる”目の下のくま(クマ)、たるみ”解消を求めて当クリニックを訪れた患者さんに問診票を記載させ、その記載内容を確認しながら診察を行った。その際、これらの症状の出現時期や治療歴の有無を確認した。さらに、上記症状以外に対する過去の美容治療や、全身に関する既往歴の有無を問診、確認した。2011年4月から2012年3月までの期間中に、” 目の下のくま(クマ)とたるみ”症状のみならず、上眼瞼下垂症状を訴えた15例を選択した。
” 目の下のくま(クマ)とたるみ”症状の所見としては、下眼瞼脂肪量の大きさ、左右差、その位置を把握した。特に外側過剰脂肪脂肪の有無は個人差があるので、注意深く同定した。尚、下眼瞼過剰脂肪量やその位置の同定は、患者を座位にて上方注視させ、この動作による眼球上転運動で、下眼窩脂肪が最大限、前方突出するよう促した状態で行った。
上眼瞼下垂はその診断基準に従い、瞳孔から上瞼までの距離が35mm以下の場合となっているが、上瞼が瞳孔状異端を軽く覆う状態を軽度、瞳孔上端から中心部以上覆う場合を中等度、瞳孔中心部からその下部を覆う場合を重度とした。本研究で選択した”目の下のくま(クマ)、たるみ”に併発した眼瞼下垂症例は、すべて軽度眼瞼下垂症と診断した症例を選択した。これらの患者さんに、日本美容外科学会推奨のインフォームドコンセントにて、治療目的、回復経過、合併症や後遺症の可能性についてその詳細を説明した。このインフォームドコンセントに患者さんから署名を得た上で、治療への同意を確認し、治療を行うこととした。
治療前写真は正面と目元拡大写真を昼光の元、照明による陰影形成とその影響による下眼瞼症状の強調が起こらぬよう配慮して撮影した。次に患者さんを診察時と同様、座位上方注視させ、下眼瞼脂肪を同定した上で、下眼瞼皮膚にデザイン・マーキングを行った。このマーキングを手術時に結膜面から進入と、剥離を進める際のその範囲同定の指標とした。
その後、患者さんを仰臥位にしてから鎮静剤(セルシン10mg)を静注し、沈静化を図った。尚、治療前血圧が拡張期血圧が100mmHg以上、もしくは収縮期血圧が150mmHg以上の状態が安静、仰臥位にて5分以上経過しても継続した場合は、カルシウム拮抗剤(ニカルジピン塩酸塩)5mgを静注した。しばらくしてから再度血圧測定を行い、原則的に拡張期血圧が90mmHg以下、収縮期血圧が140mmHg以下に降下したことを確認して次の操作を行うこととした。局所麻酔は下眼瞼に1%キシロカイン(10万分の1アドレナリン含有)を片側3〜6mlづつ注入し、麻酔効力が発揮するまで5分程度待ち、完全無痛を確認してから執刀を開始した。