2022年9月19日
当クリニックで行う目の下 クマ(くま)、たるみ治療(下眼瞼形成術)の特徴-1
はじめに
我々はアイコンタクトでコミュニケーションを図るため、目周囲にくまやたるみが存在すると、多大な劣等感の原因となりかねない。そのため、目の下(下眼瞼)のたるみ(buggy eyelid)や、いわゆるくま(クマ)改善を望む方々は予想以上に多く、これらの問題を改善するためのサプリメント、化粧品、エステやマッサージ治療など、さまざま業界から多くのアプローチがなされている。
2005年、インターネット広告業者との協力で、無作為3000人を対象とする美容外科治療に関するアンケートを行った。その中の”受けてみたい美容外科治療は何か”いう項目で、全体数の約8割が眼周囲の治療を一番始めに選択した。特に目の下 たるみ(buggy eyelid)や”目の下 くま(クマ)”は疲れや老化などの印象を与え、多くの人々がこの問題を解決したいと考えている。
従来まで美容外科的にこれらの問題を解決するには、下眼瞼眉毛下皮膚切開法が主に用いられた。しかし下眼瞼皮膚切開を行うと、傷跡ほとんど目立たなくなるとはいえども、必ずなんらかの皮膚切開痕が残存する。多くの人々が目の下の悩みを解決したいと思っても、皮膚切開法を用いて行うとなると治療をためらうことが多かった。
当クリニックでは2005年の開業以来、皮膚切開法を用いずに目の裏側(結膜側)からのアプローチで目の下のクマ(くま)、たるみ治療(経結膜的下眼瞼形成術)を行ってきた。2010年末時点でこの治療の症例は6000例を超えた。目の下のクマ(くま)、たるみ治療の歴史、治療法の比較、これまで当クリニックで行った治療結果の分析、この治療の展望や将来までを検討したい。
目の下のクマ(くま)、たるみの原因
そもそも目の下 くま(クマ)たるみの原因は、皮膚自体の色素やたるみよりも皮下組織の構造にあること場合が多い。別の言い方をすると、目の下 くま(クマ)たるみは皮下構造上の問題が、あたかも皮膚自体にくまやたるみがあるように見せかけている。したがって目の下 くま(クマ)たるみの治療は、その主な原因ではない皮膚自体を切開する必要はなく、その主たる原因である皮下組織の構造上の問題を解消すべきである。
日本人は南方系からやってきた古代モンゴロイド人、氷河期時代に北方からやってきた新モンゴロイド人の混血人種である。新モンゴロイド人とはいわゆるユーラシア内陸に居住するモンゴル人たちで、この人種には寒冷に対応した眼瞼脂肪が多い構造が長年形成されてきた。それに対して古代モンゴロイドはいわゆる南方出身のアジア人であり、寒冷対応の必要がなく、下眼瞼脂肪も比較的少ない。
眼窩脂肪を蓄える構造のない古代モンゴロイド人の眼窩に、大量の眼窩脂肪を持った新モンゴロイド人の遺伝子が掛け合わされると、大量の眼窩脂肪は行き場所を失い、眼窩から脱出し目の下のクマ(くま)、たるみをもたらす。
また比較的皮膚が薄い上にやや色素を伴った古代モンゴロイド人の遺伝子に、幾分かの新モンゴロイド系遺伝子が混入すると、眼窩脂肪量は少なくても、眼窩脂肪支持組織が構築されてしまう。この支持組織は強靱で皮膚と皮下組織を固着させる。この先天的構造が存在すると、眼窩皮膚が間延びした位置に固着され、目の下に影を作りやすくしている。この解剖学的不具合が目の下のクマ(くま)の主たる原因と思われる。