診察
この患者さんは、数十年来、目の下のたるみ症状に悩まされていたようです。これまで幾度となく外科的治療に興味を持たれていたようですが、どのクリニックに行っても皮膚切開法を勧められました。しかし皮膚切開法は傷跡残存などの後遺症の可能性があり、手術に踏み切れなかったとのことです。最近、当クリニックのホームページ見て皮膚切開なしに良好な結果が得られることを知り、当クリニックを受診しました。
経過
治療前写真-1,2の如く典型的な目の下のたるみ症状を認めます。症状はやや右>左です。
治療方針
61歳とやや高齢ですが、皮膚切開を行わなくても十分良好な結果が得られると判断し、目の裏側からアプローチする当クリニック独自の下眼瞼形成術を行いました。
治療後の評価
治療直後の写真-3,4を観察すると、局所麻酔の影響で若干開眼がしずらそうですが、この症状は治療後数時間で解消されます。また腫れは了解可能範囲内に収まっています。治療翌日の写真-5,6では右>左の下眼瞼腫脹を認めます。左下眼瞼目尻部にやや紅潮を伴います。治療2日目の写真-7,8を観察すると、治療翌日に認められた腫脹はすでに解消しつつあります。 治療1週間後の写真-9,10をよく観察すると、下眼瞼皮膚部の腫れは解消されたにもかかわらず、眼直下の眼輪筋部腫脹が依然存続しています。そのため左目の下に見られる”凹み”症状を一時的に認めます。この現象は治療7〜14日後最大とし、治療1か月後より次第に解消され、下眼瞼は平坦化することが一般的です。またこの時期目の下にちりめん皺と呼ばれる小じわも出現しています。
治療1ヶ月後の写真-11,12を観察すると、予想通り下眼瞼は平坦化しました。しかし眼輪筋部の腫れと小じわは、依然残存しています。治療4ヶ月後の写真-13,14 を見ると、治療前に認められた目の下のたるみ症状はほぼ解消されましたが、まだ完全回復とは言えない状態が継続しています。 治療10ヶ月後の写真-15,16を観察すると治療1~4ヶ月後に認められたちりめん皺は消失しました。それは皮下レーザー照射から回復する際にさまざまな組織再生因子が放出され、小じわを含めた老化兆候が修復されるためです。
最終治療結果ですが、右下眼瞼に軽度たるみ症状が残存しています。この症状は再治療を行わない限り残存しますが、本人は今回得られた結果に満足しているので、今後再治療を行う予定はありません。 この症例からわかるように、最終治療結果が得られるまで約10ヶ月と予想以上に長期間が必要ですが、体内から放出される再生因子により自然治癒が得られることがほとんどです。特に高年齢の方々は、治療結果が得られるまで長期経過が必要となりますから、その期間はあせらずにメイクアップ等を利用しながら、最終結果をお待ちになるのが賢明です。