診察
治療前写真-1,2の如く、色素沈着を伴った軽度のクマ(くま)が存在します。この患者さんは若年であるため、下眼瞼脂肪隔壁の弛緩は認めず、いわゆる”目の下のたるみ”症状はありません。
経過
目の下のクマ(くま)治療に訪れた患者様の娘さんです。18歳と若年ですが、すでに目の下のクマ(くま)症状が気になり、母に連れられて受診しました。
治療方針
将来症状が悪化しないための予防を含め、この娘さんの母と同様、目の下のクマ(くま)に対する下眼瞼形成術を行いました。
治療後の評価
治療直後の写真-3,4では腫れは最小限で終了しました。治療翌日の写真-5,6を見ると腫れは直後より増大したものの、了解範囲内に留まりました。治療1週間後の写真-7,8を観察すると、腫れはほぼ収束したものの、この時期特有に発生する一時的炎症性色素沈着を認めました。治療1ヶ月後の写真-9,10を観察すると軽度の色素沈着が依然残存しています。しかし治療2ヶ月後の写真-11,12を見ると、色素沈着はさらに軽減しました。目の下のクマ(くま)は下眼瞼の色素沈着の存在によって強調されるため、今後その症状を改善するには漂白作用をもたらすスキンケアを行うと良いでしょう。
この症例で示されるように、目の下のクマ(くま)は若年世代においてもしばしば多大なコンプレックスの要因となり、場合によっては美容外科的治療対象となります。この症状は下眼瞼構造の解剖学的不具合による下眼瞼皮膚下垂が原因なので、その改善はこの不具合の根本的解決をもたらす外科的治療が必要です。
この患者さんの場合、母の遺伝的素因からこの症状を引き継いでいたので、母親の勧めもあり予防的意味も含めて治療を行いました。手術時所見では、下眼瞼余剰脂肪は少なく摘出量も極めて少量でした。それは若年層では中高年層に認められる下眼瞼脂肪の膨張が存在しないので、その容量が小さいためです。したがって治療の根幹は、下眼瞼皮下支持組織を解離し、下垂位置にあった皮膚を挙上させることでした。この操作によって、この患者さんは将来的の目の下のクマ(くま)、たるみ症状の出現を予防出来ました。
この治療は若年層女性の場合、骨端線が閉鎖するおおよそ16歳以降の成人女子であれば適応があり、眼周囲の外見的コンプレックスが強い場合は、早期に治療を行っても構わないでしょう。