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目の下のクマ(くま)、たるみに対する結膜面アプローチによる下眼瞼形成術の治療成績-4

2012.02.29

考察

目の下のたるみの原因とその治療の詳細

従来まで目の下のクマ(くま)、たるみ解消のための治療は、多くの症例で眉毛直下皮膚切開法が用いられていた。だが、目の下のクマ(くま)とたるみは、同じ原因で発症しているとは限らないので、その治療法はそれぞれの原因に応じて異なるべきである。(9)

一般的に目の下のたるみは、加齢に伴う下眼瞼支持組織の弛緩による下眼窩脂肪の前方脱出がその主たる原因とされる。したがってこの症状は下眼窩脂肪の量が多い北方モンゴロイド系の遺伝子を有した東洋人に発症しやすいと言われている。(1)

目の下のたるみ治療は、眼窩隔膜から前方に逸脱した大量の下眼窩脂肪を軽減させるための、いわゆる”脱脂法”が主体となる。脱脂法は下眼瞼を反転させて下眼瞼結膜から進入し、逸脱した脂肪を摘出する手技をいう。下眼窩脂肪は内側、中央、外側と3部位に皮膜を伴い房状に並んでいる。

下眼窩脂肪摘出はこれらの3部位の解剖学的位置関係を肉眼下で確実に把握し、各々から均等に脱出脂肪を必要量摘出することが肝心である。解剖学的位置関係を把握することなしに盲目的に行うと、不均等な脱脂による下眼瞼の凹みや、それに伴う皮膚表面のしわ発生の可能性が生じる。(10,11,12)

これまで我が国で主流であった眼窩隔膜後方アプローチで脱脂すると、下眼窩脂肪後部の除去となり、目の下のたるみの直接的原因である下眼窩脂肪前方膨隆部の軽減を正確に調節しずらい。したがって、より熟達した技術を要するものの、Fig-2の如く、眼窩隔膜前方アプローチにて下眼窩脂肪前方膨隆部を適切に除去することが、良好な結果を得るのに極めて重要である。

目の下のたるみ治療の症例
次に当クリニックで行われた経結膜的下眼瞼形成術の治療例を提示する。Fig. 7-a,bは61歳、男性で、数十年来、目の下のたるみに悩まされていた。この症例の場合、たるみ症状は右>左だが、典型的な目の下のたるみ症例である。治療直後の写真Fig. 7-c,dでは局所麻酔剤に含有した血管収縮剤( 10万分の1アドレナリン)の影響で下眼瞼皮膚の白色化を認めるが、通常の場合、この症状は数時間で消退する。明らかな内出血や大きな腫れはなく無難に手術がしたことが分かる。Fig. 7-mの如く、摘出された下眼瞼脂肪量は中等度であり、右=左であった。
治療翌日の写真Fig. 7-e,fを観察すると、右>左の治療後の下眼瞼部位の腫脹を認めた。また左下眼瞼外側目尻部位に軽度の内出血による紫斑を認めた。治療1週間後Fig. 7-g,hを観察すると、下眼瞼部位の腫脹は解消されたが、下眼瞼直下の眼輪筋の慢性的腫脹を認めた。この状態は通常の場合、治療後3〜4週間程度継続し、その間いわゆるTear trough部位が深くなるため、下眼瞼皮膚の凹みとして認識されることが多い。だがこの下眼瞼皮膚の凹み症状はあくまで一時的で、治療1ヶ月後の写真Fig. 7-i,jを観察するとわかるように、眼輪筋の慢性的腫脹が収束すると、目の下の凹みは自然に解消されたことがわかる。
この時期、下眼瞼皮膚に軽度ちりめん皺を認めるが、この症状はあくまで一時的であり、治療3ヶ月後の写真Fig. 7-k,lを見ると分かるように、ちりめん皺は経過とともに自然と解消去された。この時点での治療結果であるが、右下眼瞼に軽度たるみ残存によるTear troughを認めるものの、本人の主観的満足度が非常に高く、治療結果は良好として終了した。
治療前後の写真Fig. 7-a,bとFig. 7-k,lを比較すると明らかなように、目の下のたるみ症状ののみならず、上眼瞼の凹みや軽度眼瞼下垂傾向の改善が得られた。こういった上眼瞼症状の改善機序についてだが、下眼瞼脂肪の前方突出を改善した結果、加齢に伴う眼球上転傾向が修復された二次的作用が予想される。
従来まで、中高年層で目の下のたるみ症状が強い症例では、経結膜的下眼瞼形成術を行っても、皮膚自体の緩みがあるため、余剰皮膚を切開除去しなければ良好な治療結果がえられないとされていた。だがこの治療症例からも明らかなように、中高年層で目の下のたるみ症状が強い症例でも、適切な治療を行うと、皮膚切開なしに経結膜的下眼瞼形成術で十分良好な結果が得られることが実証された。それは下眼瞼皮膚を皮下組織から解離させることで、改変された下眼瞼構造に合わせて、下眼瞼皮膚自体が自然に収縮するためである。
Fig. 7(左から順番にa,b,c,d,e,f,g,h,i,j,k,l,m)
Fig. 7-a,b
61 year old male. Preoperative front and enlarged view around the eye. Eye bag was prominent.
Fig. 7-c,d
Immediately after the operation. No internal bleeding and swelling was minimal.
Fig. 7-e,f
One day after the operation. Swelling of lower eyelid was remarkable.
Fig. 7-g,h
One week after the operation. Temporal depression of lower eyelid skin was recognized. This was caused by marked swelling of orbicularis oculi muscle.
Fig. 7-i,j
One month  after the operation. Depression of lower eyelid skin was improved.
Fig. 7-k,l
Three months after the operation. Chronic swelling of lower eyelid was completely eliminated. Excellent result was achieved. No skin care intervention was needed to the end.
Fig. 7-m
A large amount of lower orbital fat was extirpated.
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