2024年4月15日
SSRIについて−2
前回の本シリーズでは、”SSRI”と呼ばれる抗鬱剤について僕の知人を例に挙げ、彼が50代になった途端、所謂”ミッド・エイジクライシス(中高年世代の危機、男性を含めた更年期障害)”に陥り、心療内科を訪れたところ軽度の”抑うつ状態”と診断後、処方されたのが現代最も効果的な抗うつ剤(”SSRI”)で、それを飲んだ途端著効しまるで別人のように明るい性格に豹変し、本人も”人生が楽しくてしょうがない!!”と言い放つほどの”SSRI”の圧倒的効果をお知らせしました(O_O)
今回は、うつ病の特効薬”SSRI”をさらに掘り下げようと思いますが、そもそもうつ病は気分障害の1つで、少なくとも2週間以上続く抑うつ気分(悲しみ、虚無感、苛立ち、喜び喪失)があり、この状態を放置すると集中力の低下、過剰な罪悪感、自尊心の低下、将来への絶望から自殺を考えるなど、命に関わるシリアスな状態に陥ることもあるのです。。
しかもうつ病患者さん数は全世界人口の5%と言われ、日本でも患者数100万人越えの大変社会的悪影響の強い疾患であり、最先端研究ではヒト・ヘルペス・ウイルス6が脳神経細胞に感染し、感染部位を死滅させることでうつ病が発症すると解明され、つい最近世界を揺るがしたパンデミックの原因となった新型コロナウイルスも、まるで頭の中にモヤがかかったように物事が思い出せない”ブレイン・フォグ”のみならず、本感染症から回復後にうつ病を訴えるケースが世界中で数百万に上るとされており、うつ病が脳神経系へのウイルス感染症が一因とされるのはどうやら本当のようです。。
さらにうつ病は、脳内神経伝達物質である”セロトニン”が低下すると発症しやすく、そもそも”セロトニン”には、やはり脳内伝達物質である”ドパミン”(喜び・快楽)や”ノルアドレナリン”(恐怖・驚き)などをコントロールしながら精神安定させる作用があるので、”セロトニン”低下で不安やうつ、パニック障害が起こりやすくなるのです。。
では”セロトニン”低下の原因ですが、日本人の特徴として”セロトニン”再取り込みタンパク質が少ないらしく、つまり、日本人は遺伝的にこの”不安定遺伝子”を持つ人たちが世界中で最も多いので、そういった遺伝子を有する人たちは脳内”セロトニン”濃度が薄く、メンタル的に不安定になりやすいことが判明しており、特に北日本の日本海側にそういった人たちが多いようです。。
この遺伝子を持つ人たちがストレス・睡眠不足・昼夜逆転など不規則な生活をすると、”セロトニン”がより減少することが判明しており、さらに現代人の食生活にも問題があり、何故なら”セロトニン”原料のアミノ酸である”トリプトファン”は豆腐・納豆などの大豆製品、チーズ・ヨーグルトなどの乳製品、そしてナッツ・バナナなど主に植物性タンパク質に多く含まれるので、もし、コンビニ弁当などを常食にしていれば、当然”トリプトファン”不足から”セロトニン”低下を加速させ、その結果うつ傾向に陥りやすくなるのです(O_O)
であれば、”セロトニン”不足が原因で抑うつ状態に陥りやすい日本民族ですが、うつ病に陥った僕の50代知人のように”SSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)”を常時服用してセロトニン濃度を維持すれば良いと思えるものの、ただ薬剤には耐性(長期間服用していると効かなくなる)や副作用があるので一概にそうも言えません。。
例えば”SSR”の厄介な副作用は”前頭葉類似症候群”と呼ばれ、それはこの薬を長期間使用した後に発症することのある無気力状態、つまり、正常な気分ではあるものの何事にも無関心で動機づけが起こらず、疲労感があり、精神的に鈍い感じが残る状態で、感情が平板化し、かえって鬱がひどくなったように見えることもあるので、SSRIへの完全(長期)依存は回避すべきで、出来れば減薬から薬無しで抑うつ状態へ回復出来るよう生活・食習慣を見直すべきです。。
最後に前回例に挙げた50代知人に話しを戻しますと、半年前のパニック発作後から直ちに”SSRI”を服用し、それが功を奏してうつ状態から解放されたばかりか、むしろ”うつ”の真逆”躁”と呼ばれる”多幸症的”興奮状態に耽る彼の姿を垣間見て僕は戦慄しましたが(O_O)、その後受診医の指示で薬量を半減したようで、つい最近この知人に再会すると前回よりすっかり落ち着いていたので、とりあえず”ホッ”としました(^0^;)