2022年9月21日
ネット情報について-1
美容外科医療を求めるお客様たちは、ご自分の外見的コンプレックスが化粧品やエステ、マッサージなど、美容外科的手段以外のいかなる手段を試みても改善せず、そのコンプレックスがご自分の美意識の許容範囲を超えた際にその門を叩く。すなわちこの医療を求めるお客様たちは、相当強い思い入れがあってこそ、この医療特有の高い敷居を越えられるのであろう。
そして彼女・彼らは、ネット情報を手がかりに自分の必要な治療を提供する施設を探し求める。十分なネット検索の末、いくつかの施設に当たりをつけた後、その施設に実際に足を運びカウンセリングを受け、最終的に治療を受けるかどうか判断する。勿論、その中にはカウンセリングを受けたその日に治療を希望する場合もある。そういった方々は、ネット検索以外に紹介等ですでにその施設や医師に十分な信頼を有しているため、すんなりと治療に踏みきれるのだろう。
だが、患者さんの中には治療間際になってネットの”口コミ情報”を閲覧し、そこに記載されたネガティブ情報を垣間見た途端、急に治療に怖じ気づくことがある。ネット上のネガティブ情報とは、クリニックの接遇から医師の態度、その診療内容に関わるすべてについて、お客様にとってあまり思わしくないとことがネット上に記載されたものである。
不思議なことにお客様たちは、ネット上のネガティブ情報を閲覧するような敢えて治療の足を引っ張る行為を治療直前に行うことがあり、その傾向は女性に強く認められる。これを心理学的に分析すると、治療直前、極度の緊張に襲われた際、その治療を本当に受けるかどうか精神的に切羽詰まった状況に陥るのだと思われる。
そしてその極限的心理状態から解放されるため、無意識のうちに治療を踏みとどまる理由を模索してしまうのかもしれない。美容医療では手術直前のキャンセルが少なくないといわれるが、それは良くも悪しくも多大な情報が氾濫したネット社会で、この医療に関わるネガティブ情報に目が行きやすい状況がそうさせているのかもしれない。
治療に関するネガティブ情報を治療直前に閲覧した客様たちは、決まって僕に「昨晩、ついついネットでこの治療のネガティブ意見を見て、治療を受けることに不安になりました。本当に大丈夫でしょうか?」と尋ねる。僕はその問いに対して「はい大丈夫です。皆異口同音に、ネットのネガティブ情報は公衆トイレの落書き同レベルで信憑性がないと申していますから」と返答するようにしている。
実際、ネットに記載されたネガティブ情報とはどの程度の信憑性があるのだろうか?2005年春の開業以来、8000名近くのお客様たちを診察して、その多くがネット広告を頼りにやってきたので、今こそネット情報の信憑性に関してコメントする十分な経験を得たと確信している。次回はその信憑性について述べたい。