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美容外科ブログ

2022年9月21日
産業医資格の取得

僕のように一人で診療やクリニック経営を行っていると、一般社会から隔離、孤立しかねない状況にある。何故なら、自分の関心や注意が常にクリニックに向き、それ以外のことに向ける時間や意欲がなくなるからだ。

だが開業医は時折、クリニック経営に関して税理士、司法書士、弁護士、そして労務士さんたちと相談する機会にも恵まれる。僕はこういった機会に、異業種分野で活躍する方々から、世の中の見識を深めるようにしている。

先日、クリニック人事や労務管理をする労務士さんが、僕に産業医資格を有しているか尋ねた。産業医とは、企業等において労働者の健康管理等を行う医師を表す。医師が産業医資格を取得するには、厚生省管轄で日本医師会が運営する産業医研修会に参加して、必要単位を取得する必要がある。

開業医が一般診療を行いながら、産業医資格を取得するために数多くの講義に参加するのは非常に困難で、僕自身もこれまでこの資格を取得できずに来た。だがこの8月のお盆期間中、1週間で必要単位が取得出来る集中講義が開催され、僕もこの機会に産業医資格を取得することにした。

この講義には日本各地から300名ほど集まったが、その中には多くの若手医師たちが参加していた。若手医師の一人に、産業医資格取得の理由を尋ねたところ、'”特別な理由はないが、一つでも資格を増やした方が、給与等の病院就職条件が良くなるから”との回答を得た。

それは上がり続ける医療費削減のため、医師診療保険点数を下げざるを得なくなっており、その結果、かつてほど医師待遇は恵まれなくなったためである。そしてこの事実に不安を感じる医師が増え始め、少しでも有利な条件を得ようと若手医師たちがこういった資格を積極的に取得しようとしているの。

僕の場合はどうだろう。外科医は永久に手術をし続けることは不可能で、集中力や体力、情熱を失ったとき、メスを置き、非外科的なことに転身せざるを得ない。僕が美容外科医を目指し、開業を考え始めたのはすでに30代後半だった。外科医療に詳しい友人から、”外科医として一番充実しているのは、35~45歳の10年間である”と言われ、即座に開業に向けて行動を起こしたことが記憶に新しい。

確かに外科医は、情熱、集中力などの精神的能力のみならず、視力などの身体的能力も45歳を境にして衰え始めるから、この友人のコメントにはある程度信憑性があるだろう。僕自身にとっても、この外科医のいわゆる”プライム・タイム(最高の時期)”が過ぎ去ろうとしている。

今回産業医資格を取得したのは、将来メスを置いた時のための準備の一環でもあった。だが、外科医のプライ・タイムが過ぎたからといって、その能力が急速に衰えるわけではなく、その間培った技術と経験により円熟味が増し、60代になっても良好な結果を出し続ける医師も少なくない。僕は手術をしている時こそ、最大の充実感が得られるので、可能な限りこの仕事を続けたいが、いつかはメスを置く時が来ることを知っておかねばならない。

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