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美容外科ブログ

2022年9月20日
ニセコ

4月の北海道 土曜の夜7時、6件目の手術がようやく終わった。その日の午後香港の医師、Ho先生から「もうニセコに着きました。君が到着するのを待っています。」と電話が入っていた。僕は仕事を終えた足で日曜、月曜の二日間、北海道ニセコへ春スキーを滑りに向かった。Ho先生は大の運動好きで、今年の2月、ユタ州スノーバードで一緒にスキーをしてきたばかりだ。南北に長い日本、4月上旬でも北海道ではまだスキーが出来る。僕たちは今年最後のスキーを北海道で滑ることにした。クリニックからタクシーとモノレールを乗り継ぐと、約30分程度で羽田空港まで到着する。札幌行き最終便は午後9時発だったが、7時半にクリニックを出ると8時に羽田空港に到着した。土曜日のクリニックは息つく暇もない。治療とその経過、そしてカウンセリングにメール返信と瞬く間に時間が過ぎる。飛行機に乗るまでのほんの一時、何もせずにいられることが幸せに感じる。 夜の11時千歳空港に到着すると、空港はすでに閑散としていた。この旅はこれからが本番、僕はここからレンタカーを借りてニセコへ向かった。千歳空港からニセコまで約100キロ、峠を一つ越えるので、通常だと2時間半はかかる。車はスバルの四駆、山道を走るにはうってつけだった。夜中の山道は真っ暗だが、少しでも早く着くようにとアクセルを踏み込んだ。時間はすでに真夜中を過ぎ、峠近くでは雪がちらつ始めている。辺りは漆黒の闇、時折イタチやキツネが道路脇に顔を出す。気がつくと路面は真っ白であたりは吹雪模様となった。フロントガラスに雪がこびりつき始め、ワイパーを最速にしても追いつかない。4月中旬と言えども北海道の山はまだ真冬の真っ直中で、峠のドライブは急斜面ときついカーブのせいでスピードを出せない。必死にハンドルを握り、峠を下りると時刻は午前一時を回っていた。「こんな過酷な思いをして、何故ニセコまで?」と思いつつも、久々の北海道に胸が躍った。北海道を離れて早くも6年の月日が経過している。今振り返ると北海道はのんびりしていて居心地の良い場所だった。逆に東京は競争の激しい場所、立ち止まるわけにはいかない。そんかことを考えなが午前2時にニセコ東山プリンスホテルにたどり着いた。 ニセコを目指した理由 ある日の新聞に“北海道ニセコ地方の地価が急上昇”との記事があった。ニセコは自然に恵まれた北海道有数のリゾートで、関東の軽井沢と言ったところだろうか。夏はテニス、ゴルフ、川下り冬は世界有数のパウダー・スノーでスキー、スノーボードと一年中楽しめる。さらに我々日本人の大好きな温泉とリゾートとして申し分ない。どうして急にこのニセコの地価が上がったのか?今から15年前、あるオーストラリア人がニセコでの川下りをビジネス化した。これが思わぬ大人気となり多くの観光客が集まるようになった。さらに南半球でオーストラリアが真夏の時期、ニセコは真冬となる。避暑を兼ねてスキーやスノボードを目的に多くのオーストラリア人が来日し、長期滞在するようになった。またこのところの暖冬の影響で、世界のスキー場は慢性的な雪不足に悩んでいる。オーストラリアのみならず、香港や韓国、ヨーロッパからもスキー客が流れ込み、これらの客を受け入れるためのホテルの建築ラッシュが続いている。これが地価上昇の理由であった。スキー場で出会ったオーストラリア人スキーヤーは「ニセコのパウダースノーは最高さ!これだけの雪質はここ以外にあり得ないよ。」と声高々に訴えた。 土地バブルになったニセコ ニセコ東山プリンスホテルは、スキー場ゴンドラと直結したスキーヤーのためのリゾートホテル。ニセコの土地バブルはなんとこのホテルにまで影響を及ぼし、創業15年の歴史に幕を閉じようとしていた。理由は簡単、日本は急速な少子高齢化社会を迎え、スキー人口も激減している。ホテル経営も赤字となったところに外国資本投入で地価が上がり、プリンス側は高値でこのホテルを売り抜けたのだ。買い手はアメリカ資本のシティグループだが、ここを外国人向けの高級リゾートに変えようとしている。 深夜2時、やっとの思い出ホテルにたどり着き、東京から宅急便で送ったスキーを受け取った。僕は「こんな時間でも温泉の大浴場に入れますか?」と従業員に尋ねると、従業員は「はい、大丈夫です。」と答えた。ニセコの山々を見渡す露天風呂で疲れを癒しながら、10年前スキーのためにちょくちょく利用していたことを想い出した。ニセコのような日本有数のリゾートが外国人に溢れ、外国の資本で買収されつつある。僕がこの事態を憂えているとHo先生に伝えると、彼は「日本人は優しくて内気だから、外国人が入ってきても許してしまうでしょうか。」と答えた。確かに北海道人は人の良すぎるところがある。この想い出深い露天風呂も外国人向けスパに変わってしまう日もそう遠くはないだろうと思うと残念でならなかった。

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