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美容外科ブログ

2022年9月21日
真実を目指して-3(美容医療の将来)

僕自身の開業経験から学んだことだが、開業医は新規開業当初から少なくとも5年間、借財、リース返済に追われる。借財があるとクリニックの安定経営の障壁となるため、開業医はそれを一刻も早く返済してしまいたいと思う。そうなると、どうしても売り上げ優先の診療に傾きざるを得ない。

だが日々の努力と辛抱を重ねているうちに、次第に返済が軽減し、最終的に無借金経営が可能となる。この時点でようやく、心底患者さん優先の治療のための準備が整う。したがって新規開業クリニックにとって、開業当初の5~6年の荒波を乗り越えることが、適正医療施設として合格ラインに達する必須条件といえるであろう。

つい最近まで、美容医療を実践する医師が少なく需要過多の時期は、一人の医師が様々な部位の治療をこなさざるを得なかった。だが美容医療の進歩とともに、対象となる治療技術は日を追うごとに細分化されている。それに伴い医師能力も、何を専門としているか、そしてこなした症例数によって大きな差が出るようになった。

僕の場合も同様で、勤務医時代は眼周囲治療同様、数多くの鼻症例を手がけていた。だが眼周囲治療を専門にして開業したので、当クリニックの顧客の約8割が眼周囲治療を求めてやってくるようになった。すなわち僕が自らの専門を選択したというより、ユーザーのニーズによって僕の専門が決まったといっても過言ではない。つまり、医師が患者さんを選択する時代は過去の話で、ユーザーが吟味を重ねて医師を選ぶ時代へと変わったのだ

美に対する我々の価値観は、時代の変遷とともにより洗練され、それに伴い美容医療のニーズも変化している。例えば、従来まで美容外科で一般的であったシリコン・インプラントを用いた豊胸や隆鼻術も、人工物への違和感を嫌い現在は激減した。それに代わって脂肪などの自家組織や、再生医療を用いた治療が主流になりつつある。

前回述べたように、美容医療は景気の停滞、人口減少、この医療の供給過多により、今後は生き残りをかけた、いわゆる”サバイバル”時代に突入するだろう。またインターネットをはじめとする情報産業の隆盛により、肥えたユーザーの目が効果的な治療を適切価格で提供する施設のみを選別するようになるだろう。

我々のコンプレックスを解消し、夢や生きる希望を与える美容医療は、激動の時代の後も必ず残るであろう。我々この医療に携わる者は、患者さんの笑顔を目標に、普通の感覚でこの医療を実践することを目指すべきでり、それが美容医療のあるべき姿と僕は信じている。この医療が目立つことなく、粛々と信頼と実績を重ね、社会に根を下ろすことを願ってやまない。

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