2022年9月20日
ゴールデンウイーク
長期休暇の理由 4年前の春、僕が自分のクリニックを開業した際、ゴールデンウイーク期間中、患者さんは誰一人来なかった。数名のスタッフとともに、がらんとしたクリニックで何もしないでいると気が滅入った。スタッフと一緒に外に出ると、通りには物凄い数の人がいた。”それなのに、何故クリニックには誰も来てくれないのだろう?”と思った。銀座表通りでは、ゴールデンウイーク恒例の花祭りが開催されていた。感傷的な気持ちで見た、色鮮やかなすみれだけが妙に目に焼き付き、今でも忘れられない。 僕のクリニックでは、ゴールデンウイーク期間中、暦通りの休暇にしている。 一般的に美容外科は、ゴールデンウイークが稼ぎどきと思うかもしれない。しかし、最近の 美容外科治療は低侵襲になっていて、すぐに社会復帰できる程度のものが多い。従って、特にゴールデンウイークのような長期休暇に治療を行う必要もない。 そもそもゴールデンウイークは何のためにあるのだろう?一般的に新入学生や新入社員が慣れない環境で生活を始め、約1ヶ月程経過した頃にゴールデンウイークが始まる。この時期、新人たちは新生活に迷いや悩みが生じ、とまどうことも多く、中にはせっかく進んだ新たな道を投げ出してしまうこともある。 僕の場合、高校卒業後、地方の医大に通うため、実家を離れ下宿生活を開始した。まだ完全に親離れ出来なかった18歳の僕にとって、入学してからゴールデンウイークまでの1ヶ月間、精神的に限界寸前に陥った。ゴールデンウイーク期間、しばらく心を休めることで、ようやく精神的落ち着きを取り戻し学校に戻る気になった。だからゴールデンウイークは、新しい道のりを進めるかどうかが決まる、まさに”運命の分かれ道”となる大切な休暇期間なのだ。 広島県で過ごしたゴールデンウイーク 今年のゴールデンウイーク、僕は広島県の友人を訪れた。その目的は都会を離れ、自然の中でしばらく心を休めることだ。東京から新幹線で広島に向かうと、4時間ちょっと、新幹線は原子力エネルギーを使用するから、二酸化炭素を排出せず、地球環境に優しい。だから僕は国内旅行の際、できるだけ新幹線を利用するようにしている。最新型新線、”のぞみ”のシートには電源がついているので、ノート型コンピューターを持ち込んで一仕事していると、すぐに広島に到着した。 広島は人口70万人の大都会だが、東京に比べるとやはり静かな街だ。新幹線に持ち込んだ折りたたみ自転車を立ち上げて、僕は夜中の広島の街を自転車で走った。広島は瀬戸内海と中国山脈、そしてこの山々から海に向かっていくつもの川が流れる風光明媚な街だ。英国人の友人は、”広島が日本で一番素敵な街”と言うのもわかる気がした。 この街でしばらくのんびりしていると、僕のストレスはすっかり解消された。だが、これ以上休暇が長期になると、仕事に戻りたくなると思った。もし、このままずっと休みが続いたら、自分は何をすべきかと考えても何も浮かばなかった。仕事に戻ると、大変なことも多く、ストレスが溜まり始める。だが、 仕事をすることで、自分の存在価値があるわけだし、充実感も得られる。今後はあまりストレスのたまらない仕事のやり方を身につけることが肝心で、そうすれば長く働き続けられると思った。