2022年9月20日
地球温暖化
暖冬の北海道 久しぶりに故郷の札幌に戻った。僕が札幌で活動していたのは、今から20年近く前の青春時代だった。その後20年間、僕はニューヨークや東京で暮らしていたので、過去20年間の故郷の記憶が存在しない。そのため、今回の帰郷で20年前と現在の札幌の違いをはっきりと比較出来た。20年前の札幌の冬はとても寒く、玄関先に積もった雪の量があまりにも多くて玄関が開かないこともあった。当時の北海道の冬、2車線ある道路は雪の影響で1車線になった。のろのろ運転をしいられ、どこに行くのにも通常時の倍以上時間がかかったものだ。今の札幌にはそのような面影はほとんどない。道路はアスファルト路面が出ていおり、ほぼ夏と同様に走れる。暖冬の影響で、雪による不便が減った分、北海道にとっては良いことなのかもしれない。しかし、冬がこのように暖かくなると、何か寂しい気がしてならない。ついこないだ、12月末には季節外れの雨が降り、地上の雪がほとんど溶け出した。札幌の12月末の雨は僕の記憶には存在しない。 僕が学生時代、スキー・インストラクターとしてアルバイトをしていたスキー場を久しぶりに訪れてみた。昨シーズン行ったアメリカ、ユタ州スノーバードスキー場から約1年ぶりのスキーだった。スノーバードスキー場は標高3000メートルに位置しており、酸素が薄いので少し滑るだけで息切れした。札幌手稲山は標高1000メートル、スノーバードスキー場に比べると、それほど辛くない。僕はしばらく体を慣らした後、かつてモーグル競技のトレーニングをした急斜面に行った。この急斜面は一般スキーヤーの立ち入りを禁止するコース外で、山頂に伸びるロープウェー直下にある。コースの幅は10メートル、両側は森で囲まれている。急斜面を真っ直ぐにしか滑れないので、モーグルトレーニングにはうってつけの場所だった。僕はスキーで滑りながら森を斜めに横切り、この急斜面にたどり着いた。誰もいない斜面、懐かしいと思って見渡した。しかし、斜面には短い木々が雪の上から出ていて、とてもスキーが出来る状態ではない。降雪量が少な過ぎて、これらの木々を雪が覆いきれていないのだ!こんな場所まで地球温暖化の影響が現れている。先日見た映画、“アイ・アム・レジェンド”を彷彿させる状況だった。映画“アイ・アム・レジェンド”は近未来の地球、科学者の開発した殺人ウイルスが世界中に蔓延し、主人公のウイル・スミス以外のアメリカ人口が全滅する。誰もいなくなったニューヨーク・マンハッタン、路上に乗り捨てられた車の脇を草木が生い茂っている。僕は映画のそんな光景を、木々がむき出しとなった雪面を見ながら想い出した。 みんなで守るべき地球の将来 北海道には“根雪”という言葉があり、これは一度降った雪が溶けないまま、春先まで残ることを意味する。当時は根雪が当たり前だった。現在、札幌の雪はなんとか根雪が残ってはいるものの、近い将来それすら消えてしまう予感がする。札幌で毎年2月に行われる雪祭りでは雪像を作る雪がない。その雪は近郊の山から自衛隊員たちが運んできて、なんとか雪祭りを維持している。元アメリカ副大統領、アル・ゴア氏の映画“不都合な真実”によると、あと10年以内にアフリカキリマンジャロ山頂の雪は完全に消える。また、北極の氷はあと50年以内に溶けつくすであろう。現在も北極の氷はどんどん溶けており、氷の上で生活するホッキョクグマが溺死したケースもすでにある。北極の氷が全部溶けると、平均海面が6メートル上昇し、ニューカレドニアなどの平らな島国は水の中に消えてしまう。 地球温暖化の主な原因は、増加し続ける二酸化炭素排出量に他ならない。二酸化炭素は大工場や車で使用される石油燃焼で大量排出される。この石油価格が最近著しく上昇している。これは地球自身がこれ以上、二酸化炭素を排出させないように自己防衛しているのかもしれない。幸運なことに日本の二酸化炭素排出量は、アメリカや中国に比べるとそれほど多くない。だが、ヨーロッパと比較すると、日本のクリーンエネルギー転換基盤は後れを取っている。アル・ゴア氏は地球温暖化を食い止めるには、一人一人の地球温暖化危機の認識が重要と主張する。そして、彼は我々の子孫が安全に地球で暮らし続けられるよう、使命感を持ちながら、世界中で地球温暖化阻止のための講演を続けている。僕も久しぶりに故郷に戻ってみて、地球温暖化が現実を肌で感じた。我々は地球上の生命存続に関わるこの一大事を、黙って見過ごすべきではないと感じた。